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2004年01月04日『博士の異常な愛情』映画をそこそこ観てきた人だったら、キューブリック監督の映画もそれなりに観ているのが普通かなぁと思いますよね(って私だけか?)。で、キューブリックの映画で人気投票をするとしたら、おそらく『2001年宇宙の旅』、『時計仕掛けのオレンジ』、『シャイニング』、そして『博士の異常な愛情』あたりが上位を占めるのでは、と私は思うのですが、実はこの4本を私はどれも観たことがなくて、この正月休みを使って少し観てみようと思ったわけでした。 録画されたまま積み重なったビデオテープの中に、『突撃』と『博士の異常な愛情』があったので、早速鑑賞しましたが、両作品ともリアリティの高さと、映画自体の完成度の高さが素晴らしいです。特に『博士の異常な愛情』にはクラクラしてしまいました。 作品評価 以下、思いっきりネタばれがあるので、読む場合は注意してください。 『博士の異常な愛情』に関してですが、まず凄いのがピーター・セラーズの怪演。観る前から「素晴らしいよ」との話を聞いていて、しかし私はピーター・セラーズの出演作を他に見たことがなくて、鑑賞中ずっと「いったいどれが噂のピーター・セラーズだ!?」ときょろきょろしてましたが、まさか一人三役だったとは思いもしませんでした。暴走する司令官をなだめる副官と、ドイツから来たマッド・サイエンティスト、そして大統領を演じているのが同一人物とは、キューブリックも思い切ったことをしたものです。そして、私は見事にそれに気づきませんでした。「総統!」といいそうになって勝手に挙がる右手をなだめるサイエンティスト、もうやばいです。 あと、お約束ともいえる、ミサイルに乗って落ちていく飛行士や、ソ連をひたすら嫌う将軍、そしてラストの核爆弾の爆発シーンを連続で魅せるところなんて、ブラックすぎて笑えないですが、背筋がゾクゾクしてしまいました。冷戦が厳しくなっている中でこういう映画をとってしまうキューブリックという人物がとても興味深いです(『フルメタル・ジャケット』の前半部を観たときも思ったけど)。 それと、もう一点。映像の隙の無さも特筆できると思います。キューブリック最後のモノクロ作品だと思いますが、完璧主義者らしい見事なモノクロ映像だと思います(これは同監督の『現金に体を張れ』を観たときにも思った)。それなりにモノクロ映画を観てきましたが、この作品のモノクロ映像は一つの理想型に見えました。フィルム技術の向上というのも少なからずあったんでしょうけどね。 『2001年宇宙の旅』と『時計仕掛けのオレンジ』は、私の苦手な哲学系映画の印象が強いので、なかなか手を出せませんが、こういうリアリティのあるキューブリック作品は観ていてしびれますね。またまた素晴らしい映画に出会えました。 >> このエントリーに含まれるTAG>> 関連するエントリー 投稿者 shaw : 2004年01月04日 17:27
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