2004年02月08日

『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』

今日、ついに先行公開という形で公開が始まった『LOTR 王の帰還』を、私も早速鑑賞してきました。三部作の完結編ということだけあって、圧倒的なスケールで物語を魅せてくれて、あっという間の3時間半でした(少なくとも私は長いと感じなかった)。ピーター・ジャクソン監督が、「三作目が一番好き」と言っている通り、完成度はシリーズで最も高いと思いました。

作品評価:★4 ※採点基準はこちら

見所はいっぱいあって、ここでそれを説明する意味もあまりないので端折りますが、フロド&サムの指輪捨てコンビと、その他大勢の戦争部隊とでそれぞれ、葛藤したり対立したり派手に戦ったりで、見ごたえ十分です。なんといっても、終わり方がいいです(サルマンの出番がカットされたのが個人的にはちょっと残念でしたが)。

しかし、一番脳裏に焼きついたシーンが、大迫力の戦争シーンでも、某キャラが倒れるところでも、滅びの山のシーンでも、そして幻想的なラストシーンでもなく、「目を開けて眠るガンダルフ」というのはいかがかと(って、私の問題ですが)。隣に座っていた見ず知らずの女性の方が、あのガンダルフがよほど強烈だったのか、その後しばらくガンダルフがアップになるたびにクスリと笑っていて、それが一番印象に残りました(オイ)。

-- 追記 --

原作を既に読んでしまっている人間として、やっぱり時間がちょっとたりなかったかなぁという気もしましたが、それはエクステンディッド・エディションで解決してくれるでしょう。そういえば、まだ『二つの塔』のエクステンディッド・エディション観てないな・・・。

以下、私の中での『LOTR』のシリーズを通した評価です。

『旅の仲間』、『二つの塔』を観た時も思ったことでしたが、このLOTRの私の評価は「面白いというより、素晴らしい」というものです。映画の前に原作を読んで私が思ったことは、日本産のRPGを数多く遊んできた人間には、LOTRのストーリー自体、そこまで魅力的なものに感じないのではないか、ということでした。もちろん、ファンタジーとしての世界観(「RPGの原点」ですし)や、旅を通しての人間(に限らないけど)の成長物語、そして闇の軍勢との対立というストーリーはすごくしっかりできているし、読んでいて面白かったのですが、いかんせん雰囲気が重苦しいわけです。そして、結構淡々と物語は進んでいく(もちろん山場は沢山ありますが)ので、いまいち日本人には受け入れられないのでは、と思ったのでした(実際、これまで日本ではあまり指輪物語を読んだ人はいなかったハズ)。

で、映画化された『旅の仲間』は、まだサウロンやサルマン率いる闇の勢力の描写はあまり多くなくて、純粋にファンタジー世界の忠実な映像化があまりにも美しかったので、これは素晴らしい出来だと唸ったわけでした。
しかし、当然『二つの塔』ではそういうわけには行かなくて、沢山のオークやウルグハイといったクリーリャーがわらわら出てきて、対する人間勢力は劣勢に立たされていて、みんな悲壮な覚悟で戦いに挑んで、とずいぶん重々しい雰囲気になって、それが個人的には楽しくないのでした。まぁ、ここで苦境に立たされて、それを巻き返すところにファンタジーRPGとしての妙味があるので、そこを面白く思えない私が単にLOTRに向いてないだけとも言えるのですが。あとはゴラムが全然好きになれないっていうのも大きかったかも。

さて今作はというと、もちろん『二つの塔』と同様、人間勢力は苦境に立たされていて、ゴラムも相変わらずなので、途中までは『二つの塔』とさほど感じ方は変わらなかったのですが、やっぱり「旅の終わり」が近づいてくると、それまでたまってきた重圧のほかに「達成感」も増してくるんですよね、観ている側も。だから目的を達成した後の開放感が気持ちいいわけです。本当はその後もう一冒険あって(上でちらっと書いたサルマン登場のシーンです)、それがあったほうが冒険の終わりをより味わうことが出来たんじゃないかなぁと個人的には思っていて、だからそのシーンをカットすることになったと聞いたときはとても残念に思いました。

時間という制約がどうしてもあるので、最後はちょっと物足りなく思いましたが、それでも本当のラストシーン(港)はとても素晴らしかったです。この10時間弱にわたる膨大な物語のラストにふさわしい出来だと思ったのは、それだけ「LOTR」に愛着が湧いていたからなんでしょうね。
三部作をトータルして1作品としてみると、個人的には相当好感が高いです。そしてやっぱり「面白いというより素晴らしい」作品だと思います。

しっかりとした原作があるから続編になって面白くなくなるというリスクは他の作品と比べて低いんでしょうけど、そもそもあの原作を実写化しようという試みが馬鹿げているというか、大それたことなのは明らかで、三作通して300億以上という予算が通ったこともさることながら、その映画化を大成功に収めたという実績は本当に素晴らしいと思います。

そんなピーター・ジャクソンの次回作が『キングコング』というのも、らしいというか何というか・・・。

>> このエントリーに含まれるTAG
>> 関連するエントリー
投稿者 shaw : 2004年02月08日 01:41

Trackback

このエントリーのトラックバックURL → http://www.s-hashi.net/x/mt-tb.cgi/245