2004年06月12日

「シービスケット」を読破する

cover文庫本になるまで封印を予定していた、映画『シービスケット』の原作についつい手を伸ばしてしまいました。これが読み応え十分で大変満足だったのでした。

映画を観ただけじゃわからない、当時のアメリカ競馬事情が、それはもうきめ細やかな描写をされているので、競馬に多少なりとも知識のあるかたには特に楽しめると思います。例えば、映画の中ではレースごとの斤量の説明とかコースレコードについてなんて、全然ありませんでしたよね。そんなものを映画の中に盛り込んでしまうと、エンターテイメントとしての魅力が減ってしまうだろうし、敷居も高くなりそうなので、そういう部分をばっさり切ってしまったのは正解だと思うのですが、競馬を知っている人には、実際にはハンデの差がどのくらいあって、それを陣営がどのくらい嫌っていたのか、その辺の葛藤とかも興味深く読めるのではないでしょうか。

ところで、シービスケットの生涯成績って知ってました?
89戦33勝(2着15回3着13回)

昔の競馬は、調教代わりにレースを使う、ということもあったので、今の競走馬とは当然比較できないと思うんですが、劇中でも壮絶なマッチレースを演じた当時の名馬ウォーアドミラルが通算26戦(21勝)だったことを考えると、やはり普通じゃないと思います、この成績は。最近100連敗以上して話題になったハルウララは、勝てない(=レース後の負担も少ないはず)のにもかかわらず過酷なことさせられているなぁ、なんて思ってましたが、シービスケットの場合はそれどころじゃないわけですからね。あれだけ数々の名勝負を繰り広げ、過酷な輸送をしつつ、晩年まで走って、さらに故障を克服したうえで最後はアメリカの大レースを勝って引退する。そりゃぁ伝説に残りますって。

で、余韻に浸っているうちに、むしょうにもう一度映画のほうが観たくなってきたのでした。そして、実は先週末まで池袋の新文芸座で公開されていたのを知って、ちょっとしたショックを受けたのでした・・・。あぁ、はやくDVD
発売されないかなぁ。

-- 追記 --

原作でも、最大の盛り上がりはやっぱりウォーアドミラルとのマッチレースでした。活字を読んで、レースの臨場感を味わえるかなぁ?と読む前は思っていましたが、全然そんなのは杞憂で、かなり興奮しました。全編通して、より詳細な描写がされていて、やや淡々と物語がすすむところもありますが、それがかえって良いほうに出ていると思います。

映画のほうは、2時間という制限があるので、当然いろいろ端折っている箇所があるのですが、映像での魅せ方がとても秀逸だったので、原作の映画化としては大成功の作品だと思いましたね。

エンターテイメントとして楽しむなら映画のほうが上だと思いますが、競馬が好きな人には原作も是非。

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投稿者 shaw : 2004年06月12日 23:46

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